京都旅行とマジック・ザ・ギャザリング(前編)

こんにちは。乱脈な人です。

今更ですが、3月23日・24日に行われたマジック・ザ・ギャザリングのイベント「グランプリ京都2019(スタンダード構築)」の参加レポート兼旅行の振り返りを書こうと思います。

 

f:id:secondsun:20190415194312j:plain

 

全く最近文章を書いてなかったので練習がてらと未来の私のため思い出を残しといてやるかと思ったからです。数年後に見返して懐かしがりたいのだよ。

結果から言うと微妙な成績でしたが、反省点や良かった点、約10年振りに京都に行った感想など盛りだくさんな内容でお送りします。

 

 

目次

 前編はここまで

 

1,はじめに

最近、マジック・ザ・ギャザリングのモチベーションが高い(当社比)

理由はいくつかあるが、昨年出たセットのアモンケット、イクサランに比べ、今年発売になった「ラヴニカ」を舞台にした拡張セットは非常に魅力的だった。

高いカードパワーと多種多様なデッキが活躍できる現環境は、間違いなくここ数年で最も面白いスタンダードになったと言える。

そして、デジタルゲームMTGアリーナの登場も大きい。今までのMTGマジックオンラインというネット黎明期の遺産しかオンライン対戦環境がなかった。しかし、MTGAは日本語化されており、現在のオンラインゲームにマッチしたシステムで、日本人のMTGへの参入のハードルを大きく下げた。

実際に今まで全くMTGをやった事のない人達がMTGA経由でわんさか入ってきた。現に、カードゲームに馴染みのなさそうな二軍vtuber(失礼な表現)の人達の間でも流行りしたりして、まるで「咲」や「しんでれら・まじっく」、「MTG淫夢」みたいにMTGをやってることが当たり前な世の中にでもなったのかと錯覚した。

 

f:id:secondsun:20190415194212j:plain

 

WIXOSSを辞めてから数年間、ぬるく身内でスタンダードを遊んでいた私であったが、ラヴニカのギルドからはより競技的に取り組んでみようと考えた。

これもいくつか理由がある。列挙するとこんなところだろうか。

 

Ⅰ,競技スタンダードが面白そう、MTGアリーナの存在

Ⅱ,身内でカードをやる機会が減った

Ⅲ,ポケモンカードを触った

 

Ⅰは前述した通り。みんなで盛り上がってるんだ。私も仲間に入れてくれ。

Ⅱは無視できない問題のひとつだ。MTGを触ってくれていた人が周りから減った。理由は様々だが、ショップやウェブに出陣するきっかけになった。個人的には哀しいことではあるが、各々好きなものを見つけて楽しく生きてくれ。そして、この記事を読んでいるのならMTGアリーナをインストールせよ。

Ⅲは一見よく分からないと思うが、旧友の誘いにより、ポケモンカードの大会に出たことに起因する。紆余曲折あり、私はポケモンカードを競技的にプレイしている高校の同級生再会した。マジで高校の卒業式ぶりだった。彼は大学院を卒業し、いい会社に就職し、車も持っていた。お前と俺の8年間、一体何が違ったのか。

私が行った高田馬場の某ショップには他にも沢山競技プレイヤーがおり、カードの効果すらよく分かっていない私には非常に刺激になった。何かを真面目に取り組むことって素敵やん的な。

で、なぜMTGを真面目にやることに繋がるのかと言うと、これは完全な主観だが、「競技的」にゲームを遊ぶなら、MTGの方が適していると思ったのと、私も何か素敵やんしたかったのだ。カードゲームに優劣を付けたい訳ではないし、記事の趣旨からズレるから多く語ることもしないが、頑張るならこっちやなと思っただけで、同級生Sくん、Tくんはそのきっかけになったという話だ。

というわけで、私はちょっと真面目にMTGをやってみよう!ということと独り身で気が狂いそうだったので旅行がしたい!という気持ちからGP京都に申し込みをした。

もちろん、グランプリのような大きな大会に出場するのは初めてだった。リアルで大会に出るのもせいぜい晴れる屋のイベント程度だったので、大分背伸びしたなという感じだ。

競技プレイが半年に満たない素人が勝てる程にMTGおじ達は甘くない。なんにせよ練習せねばなと思いながら、私は大会の申し込みを行った。

 

 2,出発までの環境について

グランプリ京都はラヴニカの献身までのスタンダード構築戦で行われる。パックの発売から1ヶ月の経過した「成熟したスタンダード環境」をいかに渡っていけるかが勝負になる。

 

まずは現環境についておさらいしておこう。

パック発売当初の晴れる屋で環境初陣戦で、私はアブザンカラーの除去コントロールで微妙に良い結果を残すことが出来た。しかし、一瞬でそのデッキは使い物にならなくなった。

原因は「ハイドロイド混成体」を主体としたミッドレンジデッキの流行にあった。

 

f:id:secondsun:20190415195612j:plain

前環境のゴルガリミッドレンジをベースとした「スゥルタイミッドレンジ」は一気に環境トップに躍り出る。マナをドローに変換できるハイドロイドは長期戦を挑むデッキに非常に強く、野茂み歩きを中心とした探検パッケージはアグロを封殺する。

 

また、ケイヤの怒りや吸収、思考消去を採用したエスパーコントロールも流行する。

 

f:id:secondsun:20190415195759p:plain

白黒ショックランドの追加と白黒の除去の追加などを追い風とし、様々なデッキに丸く対応出来つつ、テフェリーという理不尽なフィニッシャーを搭載できる。更にサイドボードから正気泥棒、人質取り、ライラなど、強力なクリーチャーをインできるのも強みのひとつだ。

その他、3色のデッキは全体的にカードパワーの高いカードを採用できるため、スゥルタイ、バント、グリクシスなどの中速以上の強力なデッキが多く活躍した。

 

そして、流行していた遅いデッキを狩るためにキラーデッキが台頭してくることになる。そう、私も長く使っていたクソデッキ「ネクサス」である。

 

f:id:secondsun:20190415200240p:plain

明らかな調整ミスを感じるクソエンチャ「荒野の再生」により、マナが2倍出てしまうバグを存分に利用したデッキだ。この莫大なマナを利用し、アズカンタやドロースペルを何度も利用し、「運命のきずな」という7マナの追加ターンを取得するカードを延々と唱える。相手には二度と自分のターンは戻ってこない。アズカンタと再生が揃ったら死ぬ。言わばエクゾディアみたいなデッキである。

環境初期はハンデスや打ち消しを取っておけば余裕みたいな認識があったが、デッキの開発が進むにつれその常識は崩れていく。ミッドレンジ以降のデッキはいくらハンデスや打ち消しを取っても有利に戦えない状況が生まれた。使用者としても、キーパーツがハンデスで妨害されてもまた引けばいいか〜的な余裕があった(頭がおかしい)

この「ネクサス」(のちにティムール再生型も登場する)が中速以降のデッキに睨みを効かせていた。

 

単色のアグロデッキも非常に強力だった。アーキタイプの環境的な強みは2つ。ショックランドベースのマナ基盤と「ネクサス」の台頭だ。

ショックランドの登場により、より自由に色の組み合わせが可能になった。しかし、一方でショックランドのダメージやテンポロスはアグロに大きな隙を見せる。最終的に無数存在した3色デッキ達はアグロに駆逐され、「スゥルタイ」と「エスパー」のみが生き残ることとなった。

もうひとつはネクサスの台頭だ。ネクサスは非常に相性が極端なデッキだった。中速以降にほぼ無敵を誇ったエクゾディアだが、アグロにはほぼ手も足も出ない(エクゾディアだけに) 故にアグロデッキは、フェアデッキを狩るネクサスを狩るという環境で独自のポジションを手に入れた。

強力なクリーチャーと火力、リソース手段を持った赤単。強力なクロックと打ち消しでテンポを取り続ける青単。クリーチャーの質と量で押し切る白単など、それぞれが強みを押し付けられるだけのパワーがあった。

 

f:id:secondsun:20190415200537p:plain

 

 

その他、グルールや門、イゼットなどの強力なデッキも存在したが、キリがなくってキリマダ伝説になってしまうのでここまで。

 

2月末~3月上旬までの環境は以下の画像の通り。デッキ使用率はプロツアーのものを参照。

f:id:secondsun:20190415201441j:plain

 

 

f:id:secondsun:20190415200817j:plain


 

tear1はスゥルタイ、エスパー、ネクサス。tear2が単色アグロ三兄弟という感じだ。

この状況を考慮して、私はデッキを選択していくこととなった。

 

3,デッキの選択

大体、私はデッキを選択するにあたり、ひとつ意識していることがある。それは、最も使用率の高いデッキを使わないことだ。

理由はシンプルで、私がゲームのプレイが上手くないからだ。

使用率上位デッキを使い、多発するミラーマッチや相手に強力に意識されている状況で勝てるほど、競技プレイ初心者の私が急激に上達することは出来ない。弱者が強者に勝つには汚く環境の抜け道を見つけるしかない。私は出来れば上位デッキを倒す側に回りたい。

最初に使い始めたのは「ネクサス」だった。先程も紹介した通り、中速以降のフェアデッキには圧倒的な強さを誇った。スゥルタイとエスパーは最大勢力に違いなく、その2つのデッキに有利なのは非常に魅力的ではあった。しかし、良環境が故、ネクサスという相性の極端なデッキが、様々なデッキが活躍する現環境の最適解かと言われると首を傾げざるを得なかった。

一定数いるアグロに本当に勝てない。緑青というカラーではアグロ用のサイドボードを用意出来ない。しかし、3色にすれば安定感が欠ける。様々なプレイヤーの記事も読んだが、恐らくアグロに対する解答は今のカードプールには存在しないようだった。

途中からアグロ全般の対策を諦め、それを全て青単だけの対策に回したサイドボードを使用していたが、シミックネクサス作成者の原根氏の記事で後に同じようなことが書いてあったため、自分の考え方に少し自信が持てた。そもそもコンボデッキを真面目に回すこと自体が初めてだったため、かなりの時間を要したが、確実に勉強にはなったと感じている。

しかし、ネクサスは当日のアーキタイプ分布を完全に読み切るとこが出来れば非常に強力なデッキなのも事実だ(アグロに当たらなければ良いため)

なので、私はネクサスを練習しつつも他のアーキタイプを準備することにした。

私が目をつけたのはヤソの赤黒アグロだった。

team-cygames.com

 

このデッキは中速みたいな使用感のアグロだった。リックス・マーディで引きを安定させつつ、高マナ域のカードを少し多めにとり、ハンデスで妨害をする。まさに彼らしいプロの発想だ。

私もこのデッキを使用し、MTGAでは一瞬でミシックランクに到達した。今まで中速ビートダウンか除去ミッドレンジみたいなデッキを好んで使っていたこともあり、初めての赤単だったが割とすんなりと手に馴染んだ。

環境的な位置も割と良く、ネクサスは必勝、エスパーやスゥルタイにもぼちぼち勝てるという感じだった。

赤単アグロ自体触るのが初めてだったため、カードの使用感や先手後手でのサイドボーディングなど勉強することが多く、こちらも多く時間を費やした。

結果としてこのデッキを持ち込むことになる。

持ち込んだ理由は後述するが、ネクサスが環境的に『より』無理なためという消極的な理由だった訳だが。

 

最終的な調整結果はこちら

 

f:id:secondsun:20190415202002j:plain

デッキ名「赤黒アグロ」

 

メイン60

4 ギトゥの溶岩走り 
3 狂信的扇動者

1 凶兆艦隊の向こう見ず

4 ヴィーアシーノの紅蓮術師

3 リックス・マーディの歓楽者
3 軍勢の戦親分 
4 ゴブリンの鎖回し


4 ショック

4 稲妻の一撃

4 魔術師の稲妻
2 舞台照らし
1 実験の狂乱
2 興行 // 叩打

 

13 山

4 血の墓所
4 竜髑髏の山頂

 

サイドボード15

3 ドリルビット
4 溶岩コイル 
4 再燃するフェニックス 
2 疫病造り師
1 実験の狂乱
1 沼

 

エスパーへの勝率を高められれば完璧だと考えていたため、イマイのエスパー相手に無限に回した結果この形に落ち着いた。ヤソのリストとの大きな差異はメインの舞台照らしと実験の狂乱とサイドの疫病作り師の採用だろうか。

エスパーのメイン戦は相手が試合を始める前にライフを削りきることに尽きるため、ブン回りに加担できる舞台照らしを無理ない枚数採用。サイド後も抜きらなくても良く、ドリルビットと一緒に入るパターンを考慮すると2枚が限界だった。

実験の狂乱はグルールやスゥルタイのメイン、リソースが切れてしまった時のエスパー相手などマジでどうしようもない時の祈り用。デッキの構成に合ったカードではないのだが、どうしても勝てないのならマジック・ザ・ギャザリングを放棄して坊主めくりを始めた方が良いという結論になった。それに合わせて、狂乱と相性の良くないリックスを1枚減らし、赤瞬唱を採用。コントロールや赤単ミラーに強い良カード。

疫病作り師は、エスパーのサイド後、青単対策。ライラやテフェリーを倒せるのは強く、既存のリストにないことから警戒されず、非常に強力だった。

また、潜水や呪文貫きを回避できる除去ため、スペルのカウンターを構えている青単をスカせることが出来ていたと思われる(こちら側からはわからんが)

世の中では青単vs赤単は赤単有利という風潮があったが、別にそんなことは無くむしろ微不利くらいな勝率だった。なので、読まれない対策として、彼が青単とのマッチをそれなりにマシにしてくれたと考える。

 

各マッチの相性は以下の通り

 

・ネクサス かなり有利

・ティムール再生 有利

・スゥルタイ 有利

エスパー 五分

・赤単 微不利

・白単 五分

・青単 五分~微不利

・グルール かなり不利

・門 かなり不利

・イゼットドレイク 五分~微有利

・イゼットフェニックス 微有利

 

意識してるだけあって、フェアデッキ、コンボ(ネクサス)デッキには有利がつく。世論ではスゥルタイVS赤単はスゥルタイ有利というのが常識だが、赤黒の場合は思っているより有利がつく。このデッキが普通の赤単よりも再燃するフェニックスを連打しやすいためかとも思うが、普通の赤単使用者でも対スゥルタイを有利マッチと断言するプレイヤーも複数いたため、相性の判断は少し難しい。実質、本戦では赤単はスゥルタイに狩られていたので、上手いプレイヤーのスゥルタイは不利みたいな結論になりそうかも。ちなみにGP直前の対スゥルタイは5戦4勝だった。(一応ミシック帯)

一方、門コントロールやグルールアグロなどのデッキには構造的に不利がつく。どちらも強烈な全体ダメージと赤単では倒せないマッチョなクリーチャーが入っており、かなり厳しい戦いになる。現状はそこまで多くないため、当日当たらないことを祈るのみ。全部に勝てるデッキは存在しないのだから、ここは割り切るしかない。

また、赤単ミラーも微不利になる。理由は実験の狂乱の枚数の差。ミラーは狂乱を置いたもの勝ち的なゲームになりやすいため、多く採用している通常型やタッチ緑型の赤単には不利がつく。


結果として、プロツアー時のメタゲーム分布をみると、相性の良いマッチが上位に固まっている。本番ではエスパーと赤単が多少は増えると予想していたが、概ね分布は変わらないとも思っていた。つまり、赤黒のポジションはさほど変わらない。

持ち込むデッキをほぼほぼ赤黒に定め、もう後は京都観光の準備でもしようと思っている矢先、私の目に衝撃の結果が飛び込んできた。

 

article.hareruyamtg.com

 

f:id:secondsun:20190415204706j:plain

 

京都への出発の3日前。

大型大会で使用率2位になっている赤単の姿があった。

 

赤単ミラーマッチは微不利増えそうな赤単対策のグルールはめっちゃ不利……。

 

つまり……、

 

f:id:secondsun:20190415205154j:plain

 

 

(後編へつづく)